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宮前バスの旅

「向11 向ヶ丘遊園駅-あざみ野駅」の旅

提供:川崎市
宮前区内を走るバスは約45系統。坂が多い地域でもあり、バスは日常の足として欠かすことができないものです。
そんな移動手段としてふだん利用している路線バスも、のんびり“バスの旅”を楽しめば、窓の外には今まで知らなかった風景が待っています。
毎回、ひとつの路線を始発から終点まで乗車し、気になる停留所に途中下車。そこで出会ったものを紹介します。

路線案内

【運行バス】 小田急バス
【系統名】  向11
【おもな停留所】 向ヶ丘遊園駅-聖マリアンナ医科大学-清水台-あざみ野駅
【運行距離】 約9.9km
【経路】 向ヶ丘遊園駅を出発した後、商店街を走り、多摩区役所を経由。登戸交差点から津久井道に入り、根岸陸橋交差点を左折。浄水場通りを走った後、長沢交差点を右折して聖マリアンナ医科大学で折り返し、再び浄水場通りへ。川崎市中央卸売市場北部市場と菅生緑地の間を通り抜け、神奈川県道13号横浜生田線を通ってあざみ野駅入口交差点で右折し、あざみ野駅へ。
【特徴】 向ヶ丘遊園駅前の商店街や長沢交差点までの浄水場通りは道路の幅が狭いため、スピード感あり。途中に専修大学、聖マリアンナ医科大学などがあり、利用者多し。神奈川県道13号横浜生田線の覚永寺下交差点周辺から約1.5kmにわたって早渕川に沿う箇所あり。
向ヶ丘遊園駅<br>
向ヶ丘遊園駅
明大入口<br>
明大入口
専修大学入口・<br>川崎ゴルフ場入口<br>
専修大学入口・
川崎ゴルフ場入口
南水沢<br>
南水沢
あざみ野駅<br>
あざみ野駅

バス旅記

屋根や窓が特徴的な向ヶ丘遊園駅舎<br>
屋根や窓が特徴的な向ヶ丘遊園駅舎
今回は川崎市多摩区にある小田急線向ヶ丘遊園駅からスタート。途中、宮前区の西部に広がる「菅生」「水沢」地区を縦断し、横浜市青葉区にある東急田園都市線あざみ野駅へ向かうバスに乗ります。小田急線と東急田園都市線の主要駅を結ぶバス路線。どちらにもこの1本で行けるわけです。
 さっそく向ヶ丘遊園駅北口のバスロータリーに立つと、昭和2年(1927)の小田急線開業時に建てられ、まだまだ現役のモダンな駅舎がお出迎え。当時、現在の小田急線町田駅、本厚木駅、秦野駅、新松田駅を合わせた5駅に同様のデザインの駅舎が建てられました。が、残っているのはここだけです。
赤い幟がはためいて<br>独特な雰囲気<br>
赤い幟がはためいて
独特な雰囲気
バスは誘導員さんによって駅前の商店街へ走り出します。道幅が狭く、窓の下には歩行者がすぐそばを通行していて、見ているだけでもヒヤッとする通り。次々にバスが行き来し、きっと運転手さん泣かせの場所でしょう。津久井道の広い通りに出て、ほっと胸をなでおろします。
 浄水場通りと交差する根岸陸橋を上って行くと、右手の雑木林が青々と新緑に燃えているのが見えてきました。そして、高台に並んだ真っ赤な幟。目が覚めるような鮮やかな風景に、明大入口停留所下車決定です。
 根岸陸橋の歩道を行き、赤い幟の列を間近に見上げます。その迫力に圧倒されながら「根岸稲荷社」のお堂の前へ。と、なんだろう? これは。両側に向かい合わせでパイプ椅子が6対4。いったい、何が行われるというんでしょう?
昔話の世界に<br>迷い込んだような日本民家園<br>
昔話の世界に
迷い込んだような日本民家園
浄水場通りをぐんぐん走り、今度は左手にゴルフ場の緑。専修大学入口・川崎ゴルフ場入口停留所で、「次とまります」ボタンをピンポーン。たんぽぽが咲く道を進むと、右側に「川崎国際生田緑地ゴルフ場」。エンジュの大木がそびえ立っているところで道が2本に分かれ、左へ行くと専修大学、右へ行くと「生田緑地」西口が待っていてくれました。
 生田緑地は多摩丘陵の北東部に位置する川崎市内最大級の緑地。森林のなかを散策したり、自然を観察したりできるほか、「日本民家園」「青少年科学館」「岡本太郎美術館」「生田緑地内ばら苑」「枡形山展望台」などが点在し、市民の憩いの場としてたくさんの人々を迎えています。
身も心も洗われる<br>新緑の散策道<br>
身も心も洗われる
新緑の散策道
散策道を歩いて行くと、新芽を枝いっぱいにつけた木々。すがすがしい空気に包まれ、さわやかな風が頬をやさしく撫でていきます。岡本太郎美術館のそばにある「奥の池」では、カエルがケロロロロと鳴き声を響かせています。
 緑のなかに見え隠れしている日本民家園は移築復元された古民家や水車小屋など、25の建物を屋外展示。囲炉裏に火が入れられている古民家では室内見学が可能で、わら細工や竹細工などの民具の製作実演、囲炉裏ばたで昔話などを楽しめる日もあります。
 川崎の自然を紹介する展示やプラネタリウムが設けられている青少年科学館は子どもたちに人気。向ヶ丘遊園跡地にある生田緑地内ばら苑は春と秋のみ開苑で、市民ボランティアによる約4000株以上のバラが見事です。
伝統工芸館には<br>藍染め作品も展示<br>
伝統工芸館には
藍染め作品も展示
「初めての人でもハンカチなどをすぐに染められますよ。てぬぐいとかTシャツとか、染めたいものを持ってきてもいいですね」というのは、日本民家園の一部にある「川崎市伝統工芸館」の藍染め体験。「輪ゴムやひもで縛ってから染めて、早い方だと1時間くらいでできます」。一度体験してみると、その楽しさに魅了されて何回も通う人がいるという藍染め。深さ1メートルの壺のなかには、藍色に光る染料が静かに湛えられていました。
緑を求めて人々が集う<br>菅生緑地<br>
緑を求めて人々が集う
菅生緑地
専修大学入口・川崎ゴルフ場入口停留所まで戻り、再びバスの人に。聖マリアンナ医科大学で少々停車したバスは折り返し、菅生方面へ向かいます。蔵敷停留所のそばにある「長安寺」の前に、新緑に映える1本の木。あれはイチョウだろうと窓の外の景色を見送ります。
 清水台交差点を過ぎて目に飛び込んできたのは、黄緑の葉をきらきらと輝かせる並木と「菅生緑地」。あわてて南水沢停留所に降車します。第1回宮前バスの旅で訪れた菅生緑地も芽吹きの季節。広場では親子連れがシートを敷いてのんびりと過ごしています。
色とりどりに咲く花に<br>心癒される<br>
色とりどりに咲く花に
心癒される
菅生緑地は川崎市中央卸売市場北部市場の建設時に整備されました。このあたりには「矢上川」の源流であった湧き水「清水頭(しみずがしら)」があったと言います。その痕跡こそ見られないものの、今でもみずみずしい緑にあふれている場所。春の桜に始まって、四季折々にさまざまな草木花も彩りを添え、人々の目を楽しませています。
 南水沢停留所からバスに乗り込み、終点のあざみ野駅へ。おっと、その前に、黄緑に輝く並木はなんの木だろうと見ると、「ユリノキ」と書かれた表示板を発見しました。
● 生田緑地(北部公園事務所) TEL:044-933-2511
● 日本民家園 TEL:044-922-2181 開園時間:9時半~17時(11~2月は~16時半) 休園:月曜(祝日の場合は開園)・祝翌日(土日の場合は開園) 入園料:大人500円、高・大学生300円、65歳以上300円(川崎市在住者は無料)、中学生以下無料
● 川崎市伝統工芸館 TEL:044-900-1101 藍染め体験は要実費 例;ハンカチ染め600円 ※予約したほうが確実(持ち込み染色の場合は要予約)、体験のみの場合は、日本民家園の入園料免除
文・写真・地図:森田奈央 2007年4月に取材しました。
川崎市在住のフリーライター。散歩が好きで、好奇心のおもむくままに日々歩きまわっている。著書に猫を追いかけて歩いた「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)。