路傍の晶
厳しい作業も自らこなす植竹さん。
利用者を大切にする気持ちが言葉に滲む。
目の前の信号が赤に変わり車を停めたとき、道端に構える不動産店がふと目に入った。ちょうど物件を探していた折だ。なんとなしに入ってみる気になった。「お店を出したいのですが、このあたりで何かいい物件はないですか」。30年前のこの行動がなければ、川崎市宮前区との出合いはなかったかもしれない。
色よい返事をさほど期待していたわけではなかったが、先方が提示する立地は鷺沼駅から徒歩数分と悪くない。その時点では更地も、建物の図面を見るとイメージは膨らんだ。結局、軒を連ねる3棟のうち、真ん中の物件に決めた。
植竹さんが生まれ故郷の栃木から上京したのは18歳のころだ
店舗では色とりどり、さまざまなカーテンを手に取ることができる。手前には暖簾も。
30歳のころに独立し、都心の現場を中心に日々忙しく働く一方、彼の胸に内に次第に募っていく思いがあった。それは、「エンドユーザーに向けて仕事をしたい」というものである。そうして、あらためて新たな物件を求めて探し歩くなかで、くだんの出合いは不意に訪れたのだった。
昭和53年に「インテリアウエタケ」を立ち上げてからというもの、地元の人々の紹介や自ら発信する広告などによって顧客は広がり、着実に地域に根ざしてきた。カーテンをはじめ、カーペット等の床材、その他小物などを扱い、もちろんリフォームも手がける。室内装飾は一度手を加えれば数年は保つため、飲食業などに比べていわゆる回転率は低い。だが彼は、自身が携わった仕事について最後まで面倒を見ることを大切にする。そうした姿勢もまた、地域密着を支えてきたゆえんと言えるだろう。
お店は鷺沼駅から徒歩約5分の好立地。
およそ30年のあいだ、この場所に佇む。
植竹さんは言う。
「これまで、ただただ夢中になって仕事に取り組んできました。すべてにおいて言えることだと思いますが、いい加減な仕事をすれば次はありません。お客さんからきちんと話を伺い、求めているものが何かを引き出したうえで、ご提案やアドバイスをさせていただく。丁寧な仕事をつねに大事にしています」
「自分にはこの仕事しかない」という想いで努力を続けてきた。軒を連ねる3棟の両隣が30年前とは入れ替わったなか、真ん中の看板だけは唯一変わっていない。その事実こそが、植竹さんの努力の証といえる。
有限会社インテリアウエタケ住所:216-0007 川崎市宮前区小台1-1-6
アクセス:田園都市線鷺沼駅より徒歩5分
電話番号:044-855-7603
ファックス番号:044-855-7603
営業時間:9:30~19:00
定休日:水曜
駐車場:店前1台