川崎アワード
今回編集部が表彰しにいくところは、カレットを作る三栄ガラス株式会社。
こちらはリサイクルに欠かせない、“ある部分”を担っているからなんです!
カレットというのは、ガラスびんを砕いたガラス片のこと。このカレットが形を変えて、また新しいビンとして生まれ変わるのです。
言うなれば、ガラスびんをリサイクルするための主役。それがカレットなんです。
三栄ガラス株式会社は、工場地帯である浅野町にあります。
敷地内に入るとすぐ目の前に見えたのは、真っ白なガラス片の山。
ふむふむ、これがそのカレットというものですか。
男の子だけど、はるなちゃん。
事務所の前でお出迎えしてくれたのは、工場のアイドル、茶トラのはるなちゃん。
なつっこくて、すりすりしてくるところがニャンとも可愛い!
「男の子なんだけど、去勢したもんで、それからは、はるなあいって呼んでるんだ」
と事務所のおじさんが教えてくれました。
それでは早速工場内を見学させてもらいましょう!
工場長の松澤さんに案内してもらいながら、いろいろ教えてもらいました。
ガラスびんを運ぶショベルカー
工場の中へ入る前に、まず見えるのは外にあるいくつものガラスの山!
遠目からみると、色分けされていて綺麗にも見えるんですが、近づいてみるとこれは全て回収されたガラスびん。
んー…
かなり汚れているものも多いなぁ…
茶色の山
緑の山
オロナミンC、リポビタン、アリナミン…
茶色の山はほとんどが健康ドリンクです。
緑の山に多いのは、お酒やお酢などの調味料が多いみたい。
これらはほとんどリサイクルセンターなどから“仕入れて”きた有価物。
無料ではありません。
このびんたちが、カレットになり、そこからまた新しいガラスびんができていくのです。
これらがカレットになっていくところを見せてもらう前に、工場の中がどのような順番で動いているかを教えてもらいました。
【ホッパー】
まず最初に、ここに色別に分けられたガラスびんを入れる
↓
【一次手選別】
ガラス以外のもの(セトモノや金属など)を手で選別
↓
【大割機】
ガラスビンを割る
↓
【ラベル剥離機】
ガラスについているラベルの紙などを水ではがし、ガラスだけにする
↓
【振動篩(ふるい)】
大きさを整えるため、カレットををふるいにかける
↓
【二次手選別】
ガラス以外のもの(ゴミや金属片など)が入っていないかを再度手で選別
↓
製品となるきれいなカレットになるまで、これを何度も繰り返す。
でっかいホッパー。
こちらがまず最初の関門、ホッパー。でかい!
この鉄の箱の中に、有価物のビンがドドっと入れられ、砕かれて、最終的にカレットになっていきます。
ホッパーの下のところに「茶」と書いてあるけどこれは…?
「ただいまここに茶色のびんを入れています」という意味です。他の色のプレートもあるんですよ。
これがついてると、お茶を作ってるみたいにも見える?
いろんなプレートがありました!
工場の中はかなりすごい音。大割機や大型のふるいがあって、絶えず振動している…
最初の手選別の部屋では、大きく割れたガラスびんと混じって入っているセトモノのかけらや、ビンの口についているアルミ部分などを取り除いています。
意外と速く流れるベルトコンベアー。
3人の方が作業していました。
ガラスビンと一緒に入っていたセトモノのかけら。
工場の中はかなりすごい音。大割機や大型のふるいがあって、絶えず振動している…
最初の手選別の部屋では、大きく割れたガラスビンと混じって入っているセトモノのかけらや、ビンの口についているアルミ部分などを取り除いていました。
でも…手作業?
素人考えでは、一発で選別できる機械とかがあるかと思ったんだけど…
「もちろん選別する機械というのも出てきてはいます。でもそれはセトモノの選別用、アルミの選別用、というようなそれぞれの物質用のもの。一度に違う異物を取り除けるという機械を作るのには膨大な費用がかかってしまうのが現状です。地道な方法ではありますが、うちでは人の目と手で何度も繰り返し選別するという方法で今も続けています」
と、工場長の松澤さん。
そうか~、まだまだ機械より人の目と手の方が頼りになる!ってことなんですね。
しかし工場の中、どこもかしこも揺れてます。
普通の地面でも平衡感覚の弱い自分には、けっこうな難関だらけなわけで…
しかもカメラの腕もいまいちなんで、撮る写真ぜんぶブレてます。
左から、ラベル剥離機ではがされた紙ラベル、二次手選別の部屋から流れてくるカレット、10~25mmの大きさに揃えられ、製品となっていきます。
この写真でわかるかな~~~?
気をつけなくちゃ~!
けっこう急ならせん階段。
トントン上って行く工場長に追いつけません…
階段を上っていくと、工場内全体が見渡せるようになっており、カレットの流れがよく見えます。
しかしここは慣れないとこわいっす。
こちらは白のカレットの手選別の部屋。
最後の方になると選別するのもさらに難しくななり、さらに熟練した技が必要になります。
取り除かれたものの中には、指の先くらいの小さなアルミ片も!
製品になる白いカレット。
そして、すべての異物を取り除かれて、“製品”となったカレットが出来上がります。
ここに流れてくるときにはもう、まさに粒ぞろいの状態。
うわぁ、雪みたい!
あのガラスビンだったとは思えない…
出来上がったカレットが上から降り注ぎ、まるで雪が降り積もるよう。
この子たちがこれからまた、ガラスびん工場へ出荷され、新しい命を吹き込まれ、そしてまた私たちの家庭にやってくるんですね。
工場長、表彰状を受け取ってください!
ガラスびんのこと、いつも「燃えないゴミ」って呼んでた自分…
でも、これはゴミじゃなくて立派な資源なんだ!と再確認しました。
うるうる…感動です。
これからもがんばってください!
三栄ガラス株式会社
神奈川県川崎区浅野町 7ー2
ガラスびんリサイクルのために
取り除かれた異物の山。
美しく丈夫なガラスびんを作るには、きれいなカレットが必要です。
リサイクルされた原料カレットに、ガラスびん以外の異物が混ざっていると、出来上がったガラスびんにキズやヒビをつくる原因となります。
カレット工場では、異物のないカレットを作るために、絶え間ない努力を続けています。
ガラスびんリサイクルの対象は、ガラスびんのみです。
【キャップ類】
王冠やアルミキャップ、ガラスびんの口部のシールは外して排出してください。これらが混ざっていると溶けずに残ったり、キズやヒビをつくる原因となります。また、溶解炉のレンガを破損させることもあります。家庭からの排出時には少しでも、カレット工場に集まると膨大な量になります。
【陶磁器・石類】
茶碗や湯のみ、コーヒーカップなどの陶磁器類および石なども、あきびんと一緒に排出しないでください。これらが混ざっているとガラスびんの品質を損なう原因となります。
【異質ガラス】
ガラス製品の中で、特に耐熱ガラス製の調理器などがあきびんに混ざると、ガラスびんとは溶解温度が異なるため溶けずに残り、びんの強度を損なう原因となります。
カレットに加工する段階では、これらの異質ガラスを選別し、取り除くことは不可能です。
【リサイクルできないガラスびん】
内容物が、農薬、劇薬、医療系薬品などの場合、あきびんをカレットに加工する工程で作業する人に衛生上の影響がありますので、これらのあきびんは回収できません。